題名 | レビュー | 星の数 |
ミッドナイト・ラン | 後味すっきりなコミカルかつ骨太な脚本。不必要な部分は切捨てて作品性を重視した演出には非常に好感が持てる。アクション映画としては最高傑作。交わることのない男の友情をときに面白く、ときに切なく見せ、「来世で」というさまざまな場所で使われるこの台詞がその場面場面に応じていろんな意味を持つ。何度見ても飽きない希少な作品の一つ。デ・ニーロのやや肩の力を抜いた演技が作風にマッチし、楽しげなのが印象的。 | ★★★★★★★ |
ジャッカルの日 | こんな作品が埋もれているから映画漁りは止められない。最初から最後まで緊迫感全開な脚本は言うまでも無く殺し方とその準備の演出はやられた!という感じ。はっきり言って出演者は誰も知らない。それだけに他の作品と見比べると言うこともなくリアルに感じた。特に見事に変身するジャッカルの神秘さ、切れ者だがどことなく愛嬌あるルベルの熱血さは対象美をあらわしている。名作。 | ★★★★★★★ |
ペーパー・ムーン | 脚本、演出、演技。俺の評価基準をことごとくクリアし、最後のフィーリング面でも魅了した傑作。これこそ必見。映画の可能性を見事に出し切っている。さえない詐欺師と大人染みた少女の二人の成長と友情、そして愛を面白おかしく、時に大胆に、時に繊細な描写と脚本で最後まで惹きつけられてしまう。残念ながらこれ以降芽の出なかったティタム・オニールの名演は印象的。時代に関係なく愛され続ける作品の一つ。 | ★★★★★★★ |
2001年宇宙の旅 | | ★★★★★★★ |
天国と地獄 | リアルなサスペンス映画としてはこれ以上の作品は無い。後半だれるという批評があるがこれは最近の無駄にテンション高く必要以上に派手かつ不自然な演出をするサスペンスに毒された証拠である。現実はこの映画のように地道だったことは疑いようなくリアル派の俺には非常に好感が持てる。黒澤明といえば時代物の印象があるが現代劇でもこれほどの作品があるということを知っていただきたい。壮絶なラストは忘れられない。 | ★★★★★★★ |
用心棒 | 娯楽映画ならこの作品を措いて他にない。あっさりした痛快な脚本と爽快感あふれる殺陣は飽きさせることがない。黒澤映画で何度でも見れると言ったらこの作品が筆頭で、また世界的に見てもこの作品こそが何度見ても面白いと言える作品なのである。三船敏郎は格好いいし東野英治郎もコミカルかつ渋い演技。仲代達也も異色な切れ者を好演している。映画が娯楽だとすればこの作品こそが映画の代名詞である。 | ★★★★★★★ |
生きる | 黒澤明の根底にあるテーマ「生きることは何か」を直接的に描いた作品。そして「生きることは作ること」という言葉こそ黒澤明の偽らざる真実の声であり、数々の名作を残し、俺たちの記憶に残り、生き続ける監督の言葉だからこそ説得力がある。絶望と虚無の狂気と正気との狭間を描く前半、人間の偽善性やエゴイズムを描くことを得意とする監督の本領ともいえる後半と救いを求めるラストシーン。まさに黒澤明の作品である。 | ★★★★★★★ |
羅生門 | | ★★★★★★★ |
トレーニング デイ | デンゼル・ワシントン演ずる伝説の刑事アロンゾの偶像と現実は妙にリアル。作品中ただ一人汚れの無いイーサン・ホーク、ジェイクは妙に浮いて見えるが、それこそこの作品の演出の素晴らしさ。肉体的には負けても誘惑には負けない強い意志を持つジェイクは理想の姿。逆に誘惑に負けて泥沼に生きるアロンゾは敗者の姿なのだ。書き直されたラストシーンには賛否両論だが現行のラストこそがジェイクの疲労感を如実にあらわしている。 | ★★★★★★ |
キッズ・リターン | 転落からの再スタートというストーリーは事故を起こした直後の監督の心境を如実に物語っている。楽な道なんてないがたとえどん底でも人間は這い上がれるというメッセージが伝わってきた気がする。またキャスティングも無名の二人を起用していることも興味深い。演出を重視している監督らしい、一貫してセンスの感じられる、青春映画としては異色のかなりいい作品。何気に着実に成長してゆく漫才コンビとの対称も見事。 | ★★★★★★ |
12モンキーズ | | ★★★★★★ |
フルメタル・ジャケット | 余り有名ではない俳優人だがかなり好演している。特にリー・アーメイの演ずるハートマン軍曹が最高!数々の名言を残しあっさりと死んでしまった彼だがもとは軍事アドバイザ-だったとのこと。あまりに素晴らしいキャラだったので急遽作られたとのこと。こういうキャラは大好き。ペースがなくなったが当時の米海兵隊の少年たちがいかにして戦闘マシーンになっていくかの過程が描かれており、一種の恐怖を感じさせる。良作。 | ★★★★★★ |
レイジング・ブル | 滅びの美学と言う言葉があるがこの作品にはそれは無く、むしろ醜くすらある。しかしそれだけに印象的で、他の作品にはない虚無感が漂う。人間は多くを望めば必ず滅びに至る。しかしそれは人間の性でもあり、それを責めることは誰にも出来ない。そんなことを訴えかけている作品である。デ・ニーロはとにかくすごい。ワンス・アポン〜でもそうだが一人で青年壮年を見事に演じきる演技力は脱帽もの。またジョーペシも味がある。 | ★★★★★★ |
地獄の黙示録 | この作品は俺はマーロン・ブランドに対する評価しだいだと思う。脚本を読まなかったと言われている彼だが、俺は彼は監督よりも遥かにこの作品をを理解していたように思われる。カーツ大佐は彼の演技では死にたがっている。それは死に逝く大勢の部下を見てきた自責の念、そして戦場の地獄を見続けて心身を病んだ大佐の最後の理性、人間らしさではなかろうか。戦争の権化であり被害者たるカーツの死。これ以上の結末は無いと思う。 | ★★★★★★ |
ロッキー | この映画はとにかくいい。脚本は所々微妙だが全体としてみれば悪くは無い。完全なサクセスストーリーでないところが実にいい。いかに才能があっても落ちこぼれが短期間でチャンピオンに勝てるわけが無いが、いい勝負をするだけでも十分彼の価値を知らしめることが出来る、そのリアリティーがなまじ完全勝利よりも勇気を与えてくれるのだ。街中を走るロッキーのBGMを聞いていると心が弾むのは俺だけではないはずだ。 | ★★★★★★ |
博士の異常な愛情 または私は如何にして ・・ | 笑える人には面白すぎるブラックジョークの連続。『狂気』がどんなものかと聞かれればこの作品を見ればすぐに分かる。キューブリックのセンスの良さをまざまざと見せつけられる怪作。当時の世界情勢をここまで皮肉に扱う度胸があり、なおかつ作品として面白いものが作れるのはキューブリックとチャップリンを措いて他に居ないだろう。鬼才の本領発揮の傑作。一見の価値はある。 | ★★★★★★ |
七人の侍 | 前半はとにかく文句の付けようが無いほど素晴らしい。他の追随を許さぬ完璧な造りで、積み込まれた膨大なアイデアを上手くまとめており、登場人物は一人一人丁寧に描かれ特に侍達は細部まで見事に描かれ魅力的に映る。後半はカメラワークなどは素晴らしいがもう少しまとめることは出来たように感じる。とはいえ迫力満点、ボリューム満点のこの作品はまさに「映画の中の映画」と呼ばれるに相応しい。武士道を感じるなら本作で。 | ★★★★★★ |
マトリックス リローデッド | 繋ぎとしてしか機能しない作品と言うのは最近では珍しい。単体でも見れる作品は多いがその分ストーリーが狭まってしまうのが2作目のジンクス。しかしあえて単独性を破棄しストーリーを広げるこてで作品に更なる奥行きを与えた点では好感が持てる。アクション的にはややだるい。また音楽が安っぽいんだよ、スミス100人組み手のときなんか特に。終盤のモニタールームは非常に良かった。 | ★★★★★ |
インファナル・アフェア | 骨太なドラマ、奇抜なアイディア、息のあった俳優陣。派手好みの米映画には真似の出来ない、アジア映画の本領発揮の良作。何の気なしに借りればBest映画の一つになりえる。三部作を前提に作られただけあって隙が無い脚本だが、脚本家は男のドラマにしたかったのであろう、女性陣の影が薄い。当初は予定に無かったのではとまで疑われる女医ははっきり言って必要ない。エンドロールの歌にこの作品のテーマが謳われているのも注目。 | ★★★★★ |
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! ・・ | まさかクレヨンしんちゃんでここまで感動できる作品が出来るとは思わなかった。意外点も含め良作。戦争の悲惨さを笑いの中に自然に入れる脚本は見事。ただ、しんのすけの最後の台詞「侍になりたい」はいらなかった。あれが無ければ反戦映画としてアニメ史に残ったかもしれない。 | ★★★★★ |
メメント | 一発目が勝負。それで面白くなかったら見直さないほうがいい。見れば見るほど脚本の浅さが露呈する、編集勝負の作品。DVDでは編集していないものが入っているが、俺に言わせれば自殺行為に等しい。しかし確かに一回目はいい。最後まで見るとああ、なるほど、と思わされる。迷うところだが一回目のインパクトを評価して5点。 | ★★★★★ |
紅の豚 | 宮崎アニメではナウシカの次くらいに好きな作品。とにかくマルコがカッコいい。空中戦もアニメの中ではかなりリアルに、かつ面白く描かれている。ただとくに後半からのストーリーの失速は痛い。ジーナとのからみももう少し欲しかった。まあ子供も見る映画だからあんまり恋愛沙汰を表に出したくないのは分かるけどね。カーチスは個人的には大好き。どうでもいいがマルコのデザインのモデルは監督自身の気がしてならない。 | ★★★★★ |
バリー・リンドン | 映画史上最も美しい作品といえば間違いなくこの作品。絵画的映像は18世紀の印象派の作品が動いているかのよう。野心家の栄枯盛衰を丁寧に描かれているが、芸術性を高めすぎたためにどうしても中だるみの感は否めない。だが俳優陣の精錬された立ち居振る舞いも当時の貴族そのものでキューブリックの演出の完璧さを示している。映像的芸術性を評価して5点献上。 | ★★★★★ |
蜘蛛巣城 | マクベスを戦国時代にした脚本の出来はいいし、森を動かすなどの演出は秀逸で特にラストシーンは圧巻。演者もまた素晴らしい演技を見せ、素晴らしい作品であることは間違いない。おそらくマクベスを題材にした作品では最高傑作だろう。しかし台詞が余りにも原作に忠実すぎて違和感がある。どう考えても不自然なまでに丁寧に話したり、不必要に自分お気持ちを言ってみたりとはっきり言っておかしい。自然な台詞にしていれば・・。 | ★★★★★ |
戦場のピアニスト | 第二次大戦を題材にした作品の中ではかなりの良作。軍人ではなく一般人、それも迫害されたポーランド人の苦悩の日々をかなり上手く描かれている。演出はリアリティーがあって良いし、E・ブロディの名演技も02年の俳優の中でダントツ。しかし脚本に疑問が残る。原作自体は自伝である以上体験してないことは書くことは出来ない。だが映画化するなら他の要素も入れたほうが奥行きが出来たように思う。これで脚色賞とは笑わせる。 | ★★★★ |
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! ・・ | 渋すぎる・・。子供よりも一緒に見に行かされた親のほうがはまるに違いない。2000GTやジョン・レノンなんて知ってる子供がいるわけが無い。シュールな笑いと言う点では面白い。まあ悪い作品ではないが良作でもない。見るものが無いなら見るぐらいのもんだろう。 | ★★★★ |
ブラック・レイン | 松田優作好きと言うこともあるが、俺には松田優作がすべてを食っていたように思える。マイケル・ダグラス、高倉健、アンディ・ガルシアすべての演者を食い、脚本演出すら食って、ただただ「次はどこで松田優作が?」という気持ちで一杯になる。もちろん嫌いな人にはこうはならないだろうが俺にはそれほど松田優作の狂気にも似た存在感に引き込まれてしまったのだ。映画としては凡作だが松田優作の演技だけでも見る価値はある。 | ★★★★ |
椿三十郎 | 悪くはないが三十郎が一人浮いている、そんな印象。三十郎の登場するシーンは彼である必然性に乏しくアクションシーンも無理やりな印象がある。ラストの決闘は確かにいいが作風にマッチしているかと言うと首を傾げざるをえない。アクションシーンの導入の仕方がハリウッド並みに不自然なのだ。そもそも本当にこの作品はアクション映画として作られたのだろうか?黒澤明の映画は何気なく入っていくのを信条としているはずだが。 | ★★★★ |
マトリックス レボリューションズ | 前作の最高のセンタリングを見事につぶしてくれた作品。アクションを重視しすぎて前作で広まった奥行きを無理やり短く説明して一気に狭まってしまった。それほどまでにして作った膨大なアクションシーンもだんだんと退屈してくる単調さ。スミスとの一騎打ちもコメディ以外の何物でもない。見事に期待をはずしてくれました。 | ★★★ |
千と千尋の神隠し | キャラクターは良く作りこまれてるし、背景などの細部にまで気をつかっているのはいいが、どうも地味な印象。湯婆婆のインパクトもラピュタのおばさんの格好いいかつ圧倒的な存在感を超えるものではなかったかな。内容は個人的には好ましいものではなかった。少女が不思議な世界で働くことを通して成長してゆくなんて魅力なさすぎ。あと始めのほうで両親がいきなり目の前の料理を食べるシーンのような不自然さも多かった。 | ★★★ |
グラディエーター | 長い。内容パラパラなんだからまとめる機会はいくらでもあったはず。せめてもう30分短く出来ていれば中だるみも少なかったのだろう。アクションシーンが楽しいだけに落差がひどい。だから何回も見ようとは思わないし見るにしてもアクションシーン見てあと早送りって感じ。 | ★★★ |
荒野の七人 | 悪い作品ではない。他の作品に比べればよほど良い。しかし七人の侍と直接的に比べざるをえないこの作品は実に面白くないと感ぜられる。ガンマンを雇うのと侍を雇うのでは異色さに於いて丸で異なるし、なにより七人の侍には侍と農民、そして野武士のぶつかり合いが描かれているからあれだけの骨太なドラマになるのであって、荒野の七人にはそういうものがまるでない。結局黒澤明の偉大さを再確認するに留まる作品。 | ★★ |
ワイルド・ワイルド・ウエスト | 何から何まで最悪の方向に行ってしまった作品。酷すぎてかける言葉もないが罵倒するには憐れすぎる。ほっといてあげるのが懸命だ。 | ★ |
スピード2 | なめてんのかと小一時間問う。テンションも生え際も後退する本作。ウィリアム・デフォーではカバーしきれませんでしたとさ。 | ★ |
ロスト・ワールド ジュラシック・パーク | 俺はこの作品ほど長く感じた映画は無い。4時間ぐらいに感じた。とにかく酷い。テンポが酷い。演出が酷い。挙句の果てには脚本が酷い。俺の中では最低の作品。この作品をもう一度見ることは、金はもちろん時間の無駄。ぜってえ見ねえ。 | ★ |