題名 | レビュー | 星の数 |
ブラス! | 音楽により希望が生まれ、炭鉱閉鎖により仕事もない男たちに新たな友情が芽生える。今作はターニングポイントで絶妙に音楽がブレンドされる。グロリアが演奏すると男たちが静まるシーン、病室のダニーに演奏するシーン、そして演奏会における「ウィリアム・テル序曲」。音楽のもつ力を信じる者としては、共感しつつ嬉しさもこみ上げる作品である。 | ★★★★★★★ |
シャイン | 父に愛されなかった幼少、青年期、それに反発するかのように留学地イギリスにおけるラフマニノフの演奏シーンはまさに圧巻である。その後精神に異常をきたすが、本当の愛情を注いでくれる女性とめぐり合い、また輝きを取り戻す。最後のリサイタルでの演奏は彼の苦悩と希望の過程を見た後だけに胸に熱いものがこみ上げてくる感動的なシーン。ノンフィクション映画化の成功例の一つといえる作品。 | ★★★★★★★ |
スモーク | 「ペーパー・ムーン」同様、エンドレスに見ていたい作品ですねえ。オーギーを慕ってタバコ屋を訪れる個性的な面々、人望の厚いタバコ屋主人を違和感なく演じたハーヴェイ・カイテル、役者による出演依頼が殺到したため、続編が作られたというエピソードも頷けます。心温まる清涼飲料水のような作品。 | ★★★★★★★ |
パリ、テキサス | 目を閉じると、ライ・クーダーのスライド・ギターにのせて砂漠を彷徨うトラヴィスが脳裏に浮かぶ。それ以外にも印象に残るシーンが数多く存在する作品。再会、別れを繰り返しトラヴィスそして子供のハンターは大きく成長する。静かに流れる時の中で、強烈な印象を与え続ける今作、まさに名作である。 | ★★★★★★★ |
エクソシスト | 劇場版7点、ディレクターズ・カット版はスパイダーウォークが余計なんで6点と採点。ホラー好きだからという理由で見たわけではないんだが、エクソシスト・カラスの内なる恐怖を母親の死を通して、ヒューマンタッチに描かれている。そのため、あっと驚くというより、徐々にエクソシストの恐怖の世界に引きずり込まれる感じである。特に最後の悪霊との死闘は冷気、絶望感の漂う、本当の恐怖感が味わえる。 | ★★★★★★★ |
ペーパー・ムーン | こういうエンドレスに見ていたい作品って名作が多いんですよねえ。オニール親子のナチュラルな演技とやりとりが最大の見所ではありますが、ダメ男とその子供といったありふれた題材をここまで面白く色づけたピーター・ボグダノヴィッチ監督も見事です。見るものを幸せな気分にさせてくれる、そんな魔法を持ち合わせた作品ですね。 | ★★★★★★★ |
惑星ソラリス | タルコフスキーの映画を理解できない、難しいとよく聞くが、それは理解しようとしすぎであると思う。言葉を失うほどの映像美、詩的な世界にただ身を任せるだけで十分なのである。それをどう感じるかは視聴者である、あなた次第なのである。私の映画観を変えた「ストーカー」とあわせ見ておくべき作品である。 | ★★★★★★★ |
アパートの鍵貸します | いうまでもなく、ヒューマン・コメディの巨匠ビリー・ワイルダーの傑作!人間の悲壮感をコメディを織り交ぜながら巧みに展開させる手法は、見事としか言いようがない。最近は笑わせたもん勝ちのような安易なコメディが多いが、登場人物を愛情をもって描くワイルダー・スタンスをもっと見習うべきだろう。 | ★★★★★★★ |
情婦 | ここまで騙されて心地よい映画も珍しい。最後のロバーツが引退撤回するシーンなんか、思わず笑みがこぼれてしまう。サスペンスはこうあるべき!といえる作品。 | ★★★★★★★ |
サンセット大通り | 大女優ノーマ演じるグロリア・スワンソンの鬼気迫る演技、そして悪魔に魂を売ったようなおぞましい表情、それでいてサイレント時代の美を信じ続ける哀れさも見事に表現されている。特に最後の執事監督による、階段を降りるシーンは狂気と哀愁を漂わせ、人生のはかなさを感じさせる。ビリー・ワイルダーだからこそなし得たハリウッドの内幕劇、素晴らしいの一言。 | ★★★★★★★ |
アバウト・ア・ボーイ | 力の抜き加減が絶妙ですねえ、「クレイマー・クレイマー」、「ペーパー・ムーン」路線で直球勝負しないところが現代世相を反映しているようで好感を持てます。それとマーカスの憎たらしさ加減も不愉快を与えないラインをギリギリ保つなど、なかなかの名子役ぶりを発揮、なかなかの良作です。 | ★★★★★★ |
ショコラ | チョコが人の心癒す、何ともメルヘンチックなストーリ。ラッセ監督に人間模様描かせたら、右に出るものはいない。 | ★★★★★★ |
奇跡の海 | 重い、あまりに重すぎる、愛する男に命令され、知らない男に身を捧げるシーンはなんとも痛々しい。驚きは難しい役どころを体当たりで演じきったエミリー・ワトソン。「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」の演技にも驚かされたが、今作はそれ以上の神懸りな演技を見せてくれる。後味の悪い映画ではあるが、宗教観に縛られながら、純粋に愛する姿には説得力があり、感動させられる。 | ★★★★★★ |
タワーリング・インフェルノ | ハリウッド産パニック映画の最高峰。年々CG加工により映像技術が向上しているが、70年代に産み落とされた今作を越えるパニック映画に未だ巡り会えていない。豪華キャストでも有名な作品だが、特にスティーブ・マックィーンが素晴らしい、「大脱走」でもそうだが、彼の一挙手一投足がみる者を引きつける。俳優、演出、迫力ある映像が見事融合した秀作。 | ★★★★★★ |
イージー・ライダー | ある意味一番ロード・ムービーらしい作品かもしれない。とにかくスタイリッシュに、ドラッグ漬けが主役といったイカレ具合、自由を追い求めながらの衝撃ラスト、不条理でありながら、なぜか惹きつけられるものがある。でも、好き嫌いは分かれますねえ、間違いなく。 | ★★★★★★ |