題名 | レビュー | 星の数 |
雨に唄えば | 何度観ても飽きないミュージカル映画の1本。観るたび新しい楽しさが沸き上がってくる、最高に愉快な作品です。雨の中を踊るジーン・ケリーは最高(恋の高揚感が水飛沫と一緒に跳ね上がってくる感じで、観ているこちらが心躍り、足が勝手にリズムを取り始めてしまうみたいな)。彼の作品の中では……全部観ているわけではありませんが、一番好きな作品です。サイレントからトーキーへの移行を思うと、感慨深い。 | ★★★★★★★ |
陽のあたる場所 | 自分を含めた周囲の幸福を願っている…だからこそ、夢の落とし穴にはまるのは、とても簡単。そこで足枷になるのは、それまでの自分の幸福そのものかもしれない。出会いのタイミングの悪さ、人の心の難しさ、弱さ、そういった様々な影の部分を束にした物語…そんな感じがしました。恋人同士での鑑賞にはお薦めしたくない感じの作品。彼の考え方、彼女の考え方って、どこか“理解できる感情”だったりしませんか? | ★★★★★★★ |
サンセット大通り | この映画を観た時、サイレント映画を立て続けに観ていたのも手伝って、俳優の栄枯盛衰ぶりが妙に生々しく…それもあって、“面白かった”という感想は語弊があります。どちらかというと、目が離せなかったと言う感じ。この重たい題材を、飽きさせずに見せていく監督の力に感服。そして、なによりスワンソンの存在感が素晴らしい。登りつめた女の意地と弱さ、誇りと捨てられない夢、彼女の存在がこの映画そのもの。 | ★★★★★★★ |
素晴らしき哉、人生! | 素朴で暖かい、おとぎばなしです。見終わった後で、誰かのために何かをしたくなる物語。はじめて観たのは学生の時で、ちょうどクリスマス近く。しみじみと「ああ、私って映画が好きなんだなあ」と思えました。今でも、クリスマスシーズンが近づくと自然に手が伸びてしまう作品です。 | ★★★★★★★ |
風と共に去りぬ | 長いんです、この映画……なのに一気にラストまで辿り着いてしまう不思議さ、すさまじい牽引力です。逞しく一途であるからこそ、頑なで不器用なスカーレットが愛しい。そして、そんな彼女を慕い続けるメラニーも。『風と共に去りぬ』といえば反射的に出てくるのはバトラーとスカーレットの姿だけど、これは彼女たちのラブストーリー(恋愛の愛ではなく)でもある、そう思います。そして映画が終わったら原作を! | ★★★★★★★ |
モダン・タイムス | はじめてみたチャップリン映画です。見ている間は予備知識であった“機械文明への批判”のことはスッポリ抜け落ちていました…だって皮肉すら笑い飛ばしていて、可笑しいんだもの。そしてチャップリンの、スクリーンからのはじめての声がどこの国の言葉でもない摩訶不思議な歌だったというのが、とても好きです。笑いは言葉だけに宿っているわけじゃない、“トーキーよ、どうだ!?”そんな心意気を感じる。 | ★★★★★★★ |
シカゴ | 誰にも感情移入出来ないし、話も泥々してる…なのに何度も観てしまう、まるで麻薬。登場人物が感情的に盛り上がって突然歌い出す、そんなミュージカルが苦手な方でも違和感なく観ていられそうです。あとは展開が好みかどうか。モラルを蹴飛ばし鼻で笑い、愛を讃えながら札束を数える、そんな貪欲な人間の幸福論法に魅力を感じられるなら問題無し。腐臭漂う煌びやかな世界に引きずり込まれます。弁護士ギアが最高! | ★★★★★★ |
戦場のピアニスト | ピアニストは自由を失い、愛する人達を失い、表現の術を失う。楽器も希望も持たず、人間らしさの表現を全て失って、それでも生きるためだけに逃げ続ける。シュピルマンがくぐり抜けたのは人間の生死が重さを持たない、異常な世界です。彼は銃を持たない逃亡生活の中で、自分の精神を相手にして戦っている、彼の戦場は心にもある…そんな風にも見えてしまって。終始、張りつめた気分で映像を観ていた気がします。 | ★★★★★★ |
TRICK トリック -劇場版- | “映画でなければ!”という感じはそんなにしないけれど、TVシリーズのファンなら間違いなし、いつものノリが楽しめます。思わず続編を期待してしまう勢いです。上田と山田の微妙な関係にウエイトを置きがちに観続けているファンなら、さらに楽しめるはず……あの暗号文を読み違ってしまう山田の女心のいじらしさ(?)。ただ、一言文句を言うならば……矢部にもっと活躍して欲しかった! | ★★★★★★ |
スター・ウォーズ エピソード2 クローン ・・ | このシリーズが好きなので、愚痴も文句も“好き”のうち。「映画としては? 1本の作品としては?」…という冷静な感想に欠けています。アナキンを取り巻くあらゆる事象の向こうがわで、ダース・ベイダーがおいでおいでしているように見えます。危なっかしくて止めたくて(でも止められない)。物語の流れに身を任せてみると、続編が待ち遠しくてたまりません。映画でシリーズものを観るって、贅沢ですねえ。 | ★★★★★★ |
Laundry ランドリー | つかめそうでつかめない、ふわふわした物語。現実的に見れば“ありえないでしょう?”……それが、すとんと心に落ち着いてくる。なんだか不思議な映画です。あぶなっかしいテルと、あやうい水絵を冷や冷やしながら見ているうちに、ふたりの世界に引き込まれていしまう。おもいきり遠回りする探し物っていうのも楽しいかもしれない。なんとなく立ち止まった背中をトンと押してくれる感じの、やわらかな映画です。 | ★★★★★★ |
ハリー・ポッターと賢者の石 | 読み手の数だけ存在するハリー・ポッター。あれだけ人気のある作品を映画化しようとした監督の心意気にまず拍手です。そして、原作を大切に扱ってくれたことに感謝。2時間という枠の中に、よくイメージを崩さず、物語を凝縮させたものだと感心しました。(そういえば、クィディッチのスピード感とスリリングスさ……読んでいたときに文字から映像化できなかった部分です。実際に見ることが出来て大感動でした) | ★★★★★★ |
ウォーターボーイズ | 「こんなはずじゃなかった」って言葉は、マイナスにもプラスにもなる……観た後でスキップ踏みたくなるような楽しさをプレゼントしてくれる邦画。出足は少々もったりしているんですけど、青春物語なんだから常に明るく上手くいくはずがない!(おまけに相手は男性陣には敷居の高い、シンクロナイズドスイミングだし)。後半の演技シーンは画面の隅々まで若さのパワーがはじけ飛んでいて、最高に気持ちいいです。 | ★★★★★★ |
千と千尋の神隠し | 根底に流れるテーマや、語られている言葉を拾うのではなく、ただただ映像に飲み込まれていく感じで観ていました(考えないで、楽しんじゃったんですね)。異界に迷い込んでしまった千尋の心と自分の心を微妙に重ね合わせながら。人ではないものの世界を覗き見るという感覚で……なんだか古びたテーマパークを散策していくみたいで、ちょっとした探検気分になりました。可愛くない千尋が、不思議とキュートでした。 | ★★★★★★ |
メメント | 小刻みな記憶すら残せず、他人も、自分すら信用できない人間は、何を頼りに歩いていけばいいと思います?……とにかく人に紹介し辛い『メメント』。「ここが面白い」と言おうとすると、それが作品の核心に限りなく近くなってしまうから厄介です。……レナードが残す記憶の断片を、どうやって組み立てていくか、組み立てていけるか。製作者との真剣勝負です。 | ★★★★★★ |
ショコラ | 心にとろりと溶けて、思わず飲み込んでしまう…文字通りチョコのような映画です。甘くて、ほろ苦い。伝統、しがらみで身動きの取れなかった村人達は、わずかなチョコレートをきっかけにして、幸福を手に入れていく…自由へ踏み出す一歩って、どんな形をして人生に登場するか分かったもんじゃない。ビノシュって、こんなにキュートな女優だったんですね(それも新鮮)。どちらにしても、チョコ必携の作品です。 | ★★★★★★ |
PARTY7 | いきあたりばったりに入った映画館でブチあたりたい『PARTY7』。個性を誇張された現実世界と微妙にズレてる“なんだかちょっと普通じゃない”人達が次々に登場。とりあえず2億円をうっちゃって物語は進行します。あやしくて胡散臭くて漫画チックなこの邦画は、力を込めすぎないで軽い気持ちで見るのがコツかも。 | ★★★★★★ |
チャーリーズ・エンジェル | 女友達とワイワイ騒ぎながら観たい感じの映画。ありきたりでお約束の展開なんだけど、それを差し引きして残るのは、気持ちのよさ。気っ風が良くて腕に覚えありの3人の、キュートで色っぽくてパワフルな女の底力に、同姓の私も参ってしまいました。 | ★★★★★★ |
エリン・ブロコビッチ | エリンの気っ風のよさ、見ていて胸がすく思い。ジュリア・ロバーツがハマり役だと思います。彼女のことを苦手な私が、“なんだか好きになっちゃいそう……”と思ってしまったくらいに魅力的! | ★★★★★★ |
ギター弾きの恋 | 追いかけられてそっぽを向いて、振り返ったとき相手の姿を見失ったことに気が付いて愕然とする……気持は行き場を失います。立場や環境は違えど、似たような2人は案外たくさん居そう。セピア調・ビター風味の恋愛物語。なんとなく好きで忘れられない、そんな映画でした。修飾過剰ではない、音楽がとても素敵。ギターがこんなに表情豊かにフィルムを彩ってる映画って、私にとっては初めてだったような気がする。 | ★★★★★★ |
初恋のきた道 | 青年と、彼に恋した少女の物語……いくつもの“ただそれだけ”の出来事が、観る者の心に小波を起こします。恋をしている少女の心と大陸の情景がシンクロしてゆく不思議な感動(そして彼女の、“現在”の色彩の痛々しさ)。言葉と文字に力が与えられていなくても人の想いは雄弁なものなんだ……そんなことを素直に思えました。シンプルだからこそ、力強い。観終わった後、中華料理が食べたくなるのも特徴?です。 | ★★★★★★ |
ノッティングヒルの恋人 | ジュリア・ロバーツが苦手な私が、アレルギーを克服してしまったほど、彼女がキュート! ヒュー・グラントの微妙にダメな男っぷりが、またいい味を出していました。楽しい気分をお裾分けしてくれるラブ・コメディ。王道をいく物語、という感じです。 | ★★★★★★ |
マルコヴィッチの穴 | 物語が進めば進むほど、頭で点滅してる「?」の数が増えていく。なにが哀しくて7と1/2階、どう転んでマルコヴィッチ、どんな根拠で15分。ああ、わからない。でも……マルコヴィッチ、マルコヴィッチ。それが楽しいんだから、仕方ない。 | ★★★★★★ |
ボーイズ・ドント・クライ | もうひとつの人生を手に入れようとした若者のついた嘘。秘密の中から愛を勝ちとったブランドンは、自分自身の真実が明るみになった瞬間から、破滅への道を進まざるをえなくなる。ありのままでいることを拒絶される恐ろしさ、閉鎖的な世界の残酷さ。あらゆる思いが爆発して、言葉を失う瞬間があります。忘れられない映画。 | ★★★★★★ |
サイダーハウス・ルール | 描かれているのは“人間の罪”。 メッセージ性が強くて苦い。でも、作品を包み込む静かな視点と人間への暖かい感情によって、痛みの部分が昇華されていく感じがする。美しい四季の映像と、静かな音楽も相まって、不思議な清涼感のある映画。 | ★★★★★★ |
ダークシティ | その名前の通り、どこまでも薄暗い街。そこで生まれるのは目覚めても終わらない悪夢。主人公の混乱は、そのまま私のものになる。SFというか、どこかオカルトめいた物語でした。結末が好みの分かれるところかもしれないです。 | ★★★★★★ |
エネミー・オブ・アメリカ | |