題名 | レビュー | 星の数 |
リクルート | 「スクリーム」レベルの話を、ハッタリとスタイリッシュの「ような」映像でここまで「正装」してみせたのは、ハリウッドらしい力技。正直、この2000年を過ぎた時代に「CIA」というラベルだけで「底無し」という雰囲気を作り上げるのは難しいし、それに頼って非現実的なスパイ養成を描いたところで、安っぽくなるのは目に見えているのだけれど、御大パチーノの「顔」と「声」だけで堂々リアリズムの範疇に引き寄せたと言える。 | ★★★★ |
スパイキッズ2 失われた夢の島 | ロドリゲスらしい色も適度に保たれているし、純粋な冒険物としての展開力も悪くないと思う。ビル・パクストンの使い方なんかはロドリゲスらしい。また、あそこにブシェーミを持ってくるのも良い意味での肩透かしでロドリゲスらしいと思う。スパイ物の目玉とも言えるギャジットも面白いし、家族愛的なものの描き方も押し付けがましくなくて良い。 | ★★★★ |
CUBE2 | まるで無限増殖するかの如く作られる立方体サスペンスにおいて、本家「CUBE」の正統な続編であるという本作。個人的には悪くないと思う。CGでのソフィスティケイトされた残酷性もキッチリ「痛そう」感を醸し出しているし、「破綻しているくせにもっともらしい」理論で観客を煙に巻くのもB級らしい無責任さで良い。 | ★★★★ |
8 Mile | C・ハンソンが、MTV的な映像を呈示するとは意外だったが、話は至極普通。スポ根的なドラマツルギーをラップバトルに当てはめただけ。だが、ラストに成功を呈示しない「節度」がエミネムのミュージックビデオに成り下がらなかった要因だ。最後にエミネムのライブなどを流して、サクセスストーリーにしたら物語の根底にあるメッセージ性がぼやけていたはず。それにしてもラップ字幕は酷いこと。 | ★★★★ |
K-19 | 結局は、放射能が充満した所に飛び込むという特攻隊的悲哀をメインにした作品なのだが、逃げ場の無い切迫感、ほぼ生身で飛び込まなければならないという説得性は、舞台が潜水艦だからこそのものだろう。ハリソンが逮捕されて、ニーソンが助けるという展開は、感情論で軍の規律を乱さないという軍人の崇高さや、社会主義国家の民であるが故の融通の利かなさなどを具現した今作特有のリアリズムで鋭い社会性を感じる。 | ★★★★ |
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー | この付いていけない笑いが最高だ。寒いギャグを飛ばしたヤツでも見るかのような責めるような視線は、マイク・マイヤーズには通じない。彼は、ここでも唯我独尊だ。そんなドリフのような空間にカメオ出演ではなく本腰を入れているマイケル・ケインの素晴らしさ。まさしく弘法筆を選ばず。 | ★★★★ |
トータル・フィアーズ | 広げてます、広げてます、クランシー印の大風呂敷。ロシア、核、スーパーボウル。その割にスケールに広がりが感じないのは、ベン・アフレック、フリーマン、ジェームズ・クロムウェルのスリートップにばかりボールが供給されるから。中盤、リーヴ・シュレイバーがサイドから上がるもののベンとの相性もイマイチでパスは通らず。フリーマン交代後は、ベイカー・ホールを前線に上げ変化をつけるが、攻撃力が激減した感も否めない。 | ★★★★ |
ブレイド2 | かくも儚き「花火」の映画。美しい。ヴァンパイアが花火のように煌びやかに果てる様がただただ美しい。前作で追求した西洋と東洋の融合は、東洋とヨーロピアンの融合へと発展。ヨーロッパ的なリアリズムを湛えながらも、B級ホラー的な味わいも失わないバランス感。下水道でのシーンは「第三の男」を想起させる。歴史をも咀嚼する懐の深さ。この花火職人、只者ではない。美しき情念の世界を映像化した、かくも儚き「花火」の映画 | ★★★★ |
エネミー・ライン | 政治的バックグラウンドを過度に描き込もうとはせず、ただひたすらに逃走に特化した映画として悪くないと思う。取り分け、軽くなりすぎるきらいのある本作の空気感を、一気に濃密にする重鎮ハックマンの存在感。まさしく圧倒的だ。スティラーとワンセットでないオーウェン・ウィルソンは、流石に主役としては弱いが、ホアキン・ド・アルメイダ辺りの濃い連中がしっかり後方支援しているので問題無いだろう。 | ★★★★ |
キリング・ミー・ソフトリー | 気の毒になる位に丁寧な作品。この映画を初見した際、現代ハリウッドでもこのようなクラフツマンシップを見せてくれるのかと驚愕した覚えがある。ただ、ハリウッドという現代映画最高峰のキャパシティーを与えられながら、アナクロにヒッチの真似事をする必要があるのかどうかは疑問だ。 | ★★★★ |
エボリューション | 悪くないと思う。決して素晴らしいわけではないのだが、ポイと捨ててしまうには惜しい魅力が詰まっている。ライトマンの活劇は、ゴーストバスターズの頃から全く進歩してない化石のような魅力がある。それはどんなにCGの技術が向上しても変わらない映画人としての不器用さ。お揃いの黄色のユニフォームを身にまとった4人が、呆然と口をあけて惨事を見つめるカットを観よ。あれこそSF映画のリアリズムだ。 | ★★★★ |
ブリジットジョーンズの日記 | こういう内面描写に優れた作品は好きだ。それが、たとえ独身OLの自虐性を楽しむ悪趣味的な内容だとしてもだ。レニー・ゼルウィガーのイギリス訛は、悪くないのではないか。時折、アメリカ的なアクセントが顔を覗かせるけど、舞台ロンドンというリアリズムは損なっていないように思う。愚直なコリン・ファースは無臭だが、ヒュー・グラントがいい。あの胡散臭いキャラクター造型は、まさに、本作の屋台骨を支えている。 | ★★★★ |
ジュラシック・パーク III | プテラノドンに焦点を絞った、ジョー・ジョンストンらしい作劇に嬉しくなる。それは、霧の中から登場シーンにおける不気味さと、ラストの飛翔シーンにおける爽快感の表現。鳥かごの使い方だって実に映画的だ。 | ★★★★ |
悪いことしましョ! | ハーレーも良いが、しかし、やはりブレンダン・フレイザーがこの作品を圧倒的に面白くしている。実に表情豊かでセリフのテンポも心地良い。ハーレーもルックス的にはこの悪魔という役柄に上手くフィットしているのだが、どうしてもイギリス訛が個人的には乗り切れない要因。そういうアンバランス感がかえって良いという感じもあるにはあるのだが。 | ★★★★ |
レクイエム・フォー・ドリーム | 記号化された映像の奇抜性のみに価値があるわけではなく、麻薬から派生する、中毒性、虚無感、或いは、堕落の過程を、映像的に目に見えるヴィジュアルなものとして、解析表現するにはどうすればよいかという実験をやってみて、一応成功した映画だという所に価値があるのだと思う。E・バースティンが、このデジタル絵巻の中では、その存在自体がシニカルだ。ただ、如何せん観ていて疲れる。それも嫌な疲労感だからたちが悪い。 | ★★★★ |
オー・ブラザー! | アメリカ南部の少々毒気の強い「歴史」でも、カントリーを塗しながら、コーエン独特の「緩慢」なユーモアとセピア色の風景で包み込めばこんなに愛くるしい映画が出来てしまうのだから不思議だ。KKKでここまで「遊べる」映画人はコーエン兄弟しかいないだろう。また、それが全くと言っていいほど「嫌味無く」遊べてしまうのが凄い。ただ、イチローが3割打っても物足りないのと同様に、コーエンがこのレベルを作っても物足りない。 | ★★★★ |
ギフト | 閉鎖的で、偏見と因習渦巻くアメリカ南部。特異なものを排除してきた歴史有するこの土地で、占い師であることの危うさ。S・ライミはその辺の危うさを、南部の閉鎖的な情感と共に実に巧みにフィルムに定着させている。ケイト・ブランシェットが、繊細で、脆く、それでも子を有する母として時に強くという難しい役どころを好演。何だかんだ言って結局オーソドックスなミステリーなのは、脚本ビリー・ボブの限界。 | ★★★★ |
レインディア・ゲーム | 小さくまとまってしまった感は否めないが、悪くないと思う。こういう強引なドンデン返しは、無論、納得性は皆無だけれど、納得性のための見え見えのドンデン返しよりは断然良い。シニーズの悪役は、毎回驚異的な存在感を放つのだが、本作はちょっと弱い。それよりも、セロンの怪しさの表現の方が上のように思う。アフレックの腰抜けぶりは、地なのかもしれないけれど、はまっていた。 | ★★★★ |
キャスト・アウェイ | 「面白い」試みだが、物語としては限界があるだろう。無人島に一人流れ着き、ボールと話しましたという4ページ位の絵本ならまだしも、ハリウッドのビッグバジェットを投入して2時間で語る話ではない。いや、語ってもいいけれど、ゼメキス、ハンクスのコンビで語るのは反則だろう。推定犠牲者が多すぎる。内容、質の云々関係なく、こういう設定では、恐らく3:7、良くても4:6で合わない観客の方が多いのは分かっていただろうに。 | ★★★★ |
バーティカル・リミット | ニトロを背負ってからは、恐怖の報酬と似た展開を辿り、何処で爆発させるのかという悪趣味的な展開は、ファイナルディスティネーションのような死のタイミングを計る作品のそれと酷似している。ロケーションをメインに据え、かなりの部分を実写で乗り切った割りにチープ感が漂うのは、例えば、崖から落ちそうになるシークエンスに顔のアップを織り交ぜたりする編集の拙さと、随所に顔を覗かせるCGの違和感が原因かもしれない。 | ★★★★ |
パーフェクト ストーム | これは悪くないと思う。あそこまで犠牲者の今際の際を描いて「事実」と銘打つのは些か疑問だが、彼らが危険顧みず漁に出なければならないのだという本プロットの根幹はキッチリ描かれていると思う。クルーニーの猟師ぶりが違和感なのと、ウォールバーグとダイアン・レインのコンビも年齢的に違和感。メアリー・エリザベス・マストラントニオに至ってはその老けぶりが寂しさと共に違和感。 | ★★★★ |
インビジブル | 面白いではないか。透明人間という題材からこれ以上の何を期待すれというのか。充分、十分。ベーコンの壊れ方、異常な粘り、終盤にベーコンを応援したくなるシニカル。全てがバーホーベン印。完封は出来ないが、常に5回2失点で試合を作ってくれるバーホーベンを支持したい。 | ★★★★ |
ミッション・トゥ・マーズ | オープニング、或いは、宇宙船内での長回しによる連続性の時間表現、火星の温室でのスリラー的演出など、映像にデ・パルマらしい自己主張が見て取れるのが嬉しいが、物語の向かう先は現代SF映画としてあれで良かったのだろうか。少々落し所に難ありと見る。ティム・ロビンスのシニカルな使い方は良い。 | ★★★★ |
エリン・ブロコビッチ | 技術的には文句なし。ジャンプカットの決まり方なんかも物凄く気持ちが良いし、ジュリアのAudaciousな感じも良い。ただ、どうも今一歩器用貧乏の感が否めない。例えば、法廷での弁論を省いた構成も斬新ではあるが、肝心なところを見せて貰えなかったような物足りなさを感じる。或いは、アーロン・エッカートの描き込みの薄さ。 | ★★★★ |
オースティン・パワーズ:デラックス | 一作目と殆ど同じパターンにテンション。故に、ハーレーとヘザーの差異こそが本作の存在意義。一定の距離を保っていた感のあるハーレーに比べると、ヘザーは一緒になって大騒ぎしている感があり、確かに一作目とは違うケミストリーを感じさせる。個人的にこのシリーズ独特のテンションが好きなので、「また同じ事やっている」という類の安定感を維持して欲しい。 | ★★★★ |
ギャラクシー・クエスト | 面白い。ただ、この作品にこんな温かい眼差しを送るならば、例えば「エボリューション」辺りにだって少し分けてあげても良いはずだ。この映画がそういうシュール路線で特に秀でているとは思わない。私は、アラン・リックマンはそんなに面白くないと思う。ティム・アレン、或いは、シガニー・ウィーバーの方が断然シュールだし面白い。サム・ロックウェルの位置関係も面白い。 | ★★★★ |
アナライズ・ミー | この映画に関してはやはり、ビリー・クリスタルの上手さに助けられたと言えるだろう。デ・ニーロとのつかず離れずの距離感を保ちながら、優柔不断さと責任感の強さが仇となってマフィアの争いに首を突っ込んでしまうという”成り行き”の表現が実に巧みだ。 | ★★★★ |
ディープ・ブルー | | ★★★★ |
アンドリューNDR114 | これは力技。決して、技巧的に優れた脚本ではないけれど、また、中盤にはだれる部分もあるけれど、200年に渡る物語を提示されると、物語の終点では、やはり泣けてくる。それは、ロボットが初めて家族のもとに届いた時のいわゆる「出会い」の瞬間が走馬灯のように蘇ってくるからだ。 | ★★★★ |
ゴースト・ドッグ | ここには欧米人が無理に武士道を描こうとする変な力みは無い。あるのは、更新されるべき歴史と原型を留めたまま「語り継がれてゆくべき」歴史が混在する現代。そして、そんな「現代」を恐ろしいまでに冷徹に、かつ、ユーモアに満ちた語り口で描くジャームッシュ。しかし、本作はRZA。ザラザラしつつキラキラ輝くアンダーグラウンドな精神性を感じさせる音の魅力、魔力。掻き立てられるWu-Tang的不安感が狂おしい程に魅惑的だ。 | ★★★★ |
ストレイト・ストーリー | 映画人がフィルムを媒体に表現するという事は、それ相応の想いが凝縮されているわけで、アバンギャルドな作品を発表し続けてきたリンチが、このタイミングに、この題材を描くというのは、老いをテーマとした感傷性の表現というよりも、それと表裏一体の「厳しさ」の表現であるように思えてならない。それは、例えば、鹿を轢くカットの強烈な残酷描写であったり、娘の知的障害であったりの厳しさだ。 | ★★★★ |
スター・ウォーズ エピソード1 ファント ・・ | 同シリーズファンとしては、確かに三部作との「連関」を呈示されると無性に嬉しくはなるのだが、やはり、この映画の脚本は「古い」と思う。いくらCGが発達してから具現化したいといっても、タイミングが遅すぎる。もうこの話は賞味期限が切れているように思えて成らない。 | ★★★★ |
絶体×絶命 | 簡単に言ってしまえば病院内での「鬼ごっこ」なのだけれど、追う側のガルシアもまた警察に追われる、或いは、逃げる側のキートンを殺してはならないといったルール設定が秀逸なため案外面白い。また、キートンを殺せない理由がガルシアのみに存するという所から、ガルシアがキートンを助けるといった皮肉めいた展開も派生し、後半は壮絶な人間絵巻へと発展していく。ただ、悪役キートンは、子供への同情心を垣間見せ魅力半減。 | ★★★★ |
RONIN | 柔軟性は無いけれど、一本気で情に厚いフランケンハイマーらしい作品。冒頭のデ・ニーロ、ショーン・ビーンのテンションの高いやり取りが秀逸。でも、この映画はナターシャ・マケルホーンの映画だと思う。紅一点だとはいえ、あれだけの濃いメンバーの中で存在感を放つのは凄い。時に可憐に、時に怪しく、作品の温度を上げたり下げたりしている。 | ★★★★ |
マーシャル・ロー | 空撮に映し出されたNY/WTCが、或いは、後に起こる悲劇との類似性が何とも痛切だ。ズウィックらしい抑制に、マイノリティへの容赦ない視線。あのスタジアムの身の毛も弥立つ造型は、人種の坩堝たる米国の奥底で歯軋りしながら眠っている悪魔の投影か。ブラッカイマーのような外観に騙されて柔和な表情で近づくと、鬼の形相で噛み付かれてしまう恐ろしい映画。 | ★★★★ |
ピースメーカー | 湿り気のないサッパリとした端正な画作りはいかにも「ER」のミミ・レダーだが、東欧など舞台が転々とするわりにエキゾティシズムを感じないのは、端正すぎる弊害か。単純な善悪論からの脱却を目論み、テロリスト側の言い分ものせるフェアー精神を披露するが、流石に敵側にクルーニー、キッドマン・クラスのキャストを用意することまではせず、シンパシーの一歩手前でキッチリ区切りをつけるシュールレアリスム。 | ★★★★ |
スライディング・ドア | アイデアに富んだパラレルな二重構造は、なるほど最初は頗る新鮮だが、流石に後半に差し掛かるにつれて飽きが来る。中盤以降は、落とし所へ興味が集中するのだが、着地は案外綺麗に決まっている。過剰なロマンチシズムに傾斜することもなく、辛うじて甘口シュールレアリスムで踏み留まるアンチクライマックス。ただいずれの男性も、パルトロウの存在感の前に霞んでしまうバランスの悪さ。この辺が惜しい。 | ★★★★ |
ボルケーノ | 「自然との戦い」のみに特化している、或いは、弛緩の少ない展開を辿るという点においては、案外娯楽映画としては「厳しいリアリズム」のもと成立しているのかもしれない。そして、そのリアリズムは、時として泥臭いドキュメンタリー調ドラマを感じさせるシュールレアリスムを表出させる。ビル爆破シーンにおけるトミー・リーの走る様とのカットバックや、クローズアップで緊迫感を煽ったアナクロ的な骨太演出がエネルギッシュだ | ★★★★ |
ライアー ライアー | 面白い。面白いが、ジム・キャリーだからこそ面白い。あの圧倒的なまでのハイテンション。映画的というよりも、舞台的な演技だが、やはり面白い。ストーリーは、嘘をつけないという掴みは面白いが、そこから思いのほか展開が広がらない。加えて、モーラ・タイニーがヒロインとして弱い。 | ★★★★ |
エイリアン4 | エイリアンと人間の狭間で揺れるシガニーと、ロボットである事の自我に苦しむウィノナ、このヒューマニズムをまるで逆説的に表すかのような設定が秀逸。エイリアンは哺乳類的誕生や、リプリーに対する愛情など、より人間的な存在になり、悲哀に満ちたラストには、リプリーならずしも許しを請うのではなかろうか。恐怖だけでなく、後半には何処か哀愁さえも感じさせた新しきエイリアン像が今作の見所。 | ★★★★ |
真夜中のサバナ | 街の景観の美しさ。イーストウッド特有の深い被写界深度がここでも心地良い。サスペンスとは違うベクトルに傾くのは毎度のイーストウッド節、ドライな死生観を感じさせるプロットの運びが深遠でシュールレアリスム。 | ★★★★ |
ディアボロス | | ★★★★ |
ロスト・ワールド ジュラシック・パーク | 厳しい作品。それは、偉大な親を持つ子の厳しさ。親がいなければ、それなりに評価してもいい作劇のリズムがあると思うけれど、前作との比較を強いられると、途端に粗が浮き上がる。それは、都市空間に恐竜を放り込んだプロットの節度の無さと、ジェフ・ゴールドブラムの主役としての弱さ。 | ★★★★ |
エアフォース・ワン | いくらハリソンの「追い込まれた表情」が良いといっても、これはオールドマンとグレン・クローズの映画。オールドマンの粘着系ロシア訛に、グレン・クローズの毅然とした佇まい。この対立図式が有無を言わさず面白い。米側に潜入していたテロの仲間の選択に説得力が無いのが玉に瑕だが、そういう「粗さ」もまた、ペーターゼンらしくてよいではないか。 | ★★★★ |
レインメーカー | 原作グリシャム作品には珍しく、殺し屋との追いかけっこ無いのが好感度。やはりコッポラは地に足が着いている。ジョン・ボイト側の押しが弱いのも、エンタテイメントとしてのバランスを考えたら、サッパリ味で悪くない。ただ、何か突きぬけたものが無いのも事実。この辺、グリシャムの限界か。 | ★★★★ |
恋愛小説家 | この程度の恋愛劇でも、役者味だけでここまで物語が表情豊かになるのだから大したものだ。ただそれでも、長尺すぎる。もう少し脚本の贅肉を削ぎ落とせたはず。キャストでは、やはりヘレン・ハントがベストアクト。ニコルソンらしい「粘着系」の演技は流石だが、これでオスカーならば、毎年持っていかれるだろうに。ニコルソンにしては普通。グレッグ・キニアの異様感が良い。 | ★★★★ |
アルビノ・アリゲーター | | ★★★★ |
ナッティ・プロフェッサー クランプ教授 ・・ | エディ博覧会。とにかく一家団欒シーンなんかはどこまでがエディで、どこがエディでないのか、何がなんやら分からなくなってしまう。意外に重いテーマ性を扱いながらも娯楽性に満ち、キャラクターは奇妙であるにもかかわらずリアルだ。もうこのエディには脱帽。凄すぎる。それは一つ一つのキャラクターが「一人何役」というものを忘れさせる独立したアイデンティティを享受しているからだ。 | ★★★★ |
エスケープ・フロム・L.A. | 日進月歩の映画業界の中で、カーペンターの体内時計だけが完全に止まっているという事を知らしめた作品。あの「ダーク・スター」の涙のカントリー・サーフィンを想起させるサーフィン・シーンには落涙必至。そして、ルームランナーで歩かされているスネークを決してアップにしない「節度」。映画業界に今だこんな路地裏が存在していることの嬉しさと、そこを威風堂々闊歩しているカーペンターに尊敬の念を禁じえない。 | ★★★★ |
ロング・キス・グッドナイト | 「記憶を失った」という設定の旨みである「真実の意外性」を早々に明かしてからは、それこそジーナ・デイビスの「テルマ&ルイーズ」よろしくの怒り爆発的独壇場。サスペンス的な可能性をもう少し探っても良かったのではとは思うけれど、レニー・ハーリンらしい荒唐無稽パワーもまた有無を言わさぬ魅力がある。 | ★★★★ |