評価点数:5
結局のところ「つくり話」は、聞き手の語り手に対する思いで、甘美なお伽話にでも、チンケなホラ話にでも聞こえるものではないだろうか。子供の頃に胸躍らせて聞いた夢物語が単なる戯言に聞こえた時、息子の中で生きている父親は死んでいたのだろう。しかしその「つくり話」の根源を知った時、死にゆく父は息子の中で生き返り、永遠になった。そして、病院のベッドで死ぬ運命だった彼を、奇跡をもって川へと還すのである。成仏。